介護施設でもえつき・辞職を考える

介護の仕事は人手不足です。親身になってケアや話しをしたくてもまったく手が足りず、時間に追われて、できません。すべてがいい加減、手を抜く感じでやらないと、時間内に終われないのです。一人が勤務の前・後に残業するのは常です。一人の時に限ってあちこちでナースコールが鳴ります。認知があり、目の離せない利用者の方もいて、いつもパニクッてました。暴言、暴力もあります。身を削り一生懸命しているのに傷つきます。それでも、心身に鞭打ちがんばろうとしましたが、ある夜勤の日、倒れてしまいました。それもこれから忙しくなる時間に。私には、もう限界だったのです。体が教えてくれました。

・人のために自分を犠牲にしてまで尽力することをいいことだと思っていません か?

・周囲の人に合わせて「いい人」を演じていませんか?

・自分の責任ではないところまで引き受けて、一生懸命がんばろうとしていません か?

・つらい状況でも、弱音を吐かずに耐えることが立派だと思っていませんか?

もし、あなたがこれらのことに思い当たるのなら「もえつき」の可能性があります。誰かのために役に立ちたいと一生懸命がんばるうちに、いつのまにか自分自身が消耗してしまうのです。案外自分で気付かず、「もえつき」は進行していきます。こんなことではダメだと自分を責め、やがて「うつ」状態に陥ます。体に現れる症状として肩こり、頭痛、元気がでないなど見られます。

「もえつき」がよく起こる職業に「援助職」があげられ、一種の「職業病」とも言われています。

「もえつき」を起こす要素

・いつも、手を抜くことができない大変な状況である

・いくら自分を犠牲にがんばっても報われない

・使命感・責任感・思い入れが強い

などがあります。たしかに、「援助職」にはこのような環境であることが多いですが、自身が育ってきた家庭の中で、知らず知らずのうちに身につけた生き方だったりもします。「もえつき」を治療することは、生き方を変えるチャンスでもあるのです。

「もえつき」の治療法は「境界」をつくり、自分を守ります。どういうことかと言いますと、

・自分を消耗させるほど仕事をしない

・無理に相手の感情にあわせようとしない

・他人が負うべき責任まで引き受けない

・時間をどう使うか、自分で決める

そして、声に出して自分に言います。

・私は、人の面倒をみる前に、しっかり自分の面倒をみる

・私一人でがんばる必要はない。周りの人とシェアする

・私は感情をため込まない。誰かに話し聞いてもらう

・私は自分を責めない。いつもその時にできる精一杯のことをしているのだから

・やりたくないことは断る。決めるのは私

自分を認めてあげます。

自分のことは自分で仕切ります。

相手に合わせた人生でなく、自分の人生を歩きます。

今、介護の仕事を辞めて、ゆっくりとした時間のなかで考え、わかったことがあります。同じ職場の上司や同僚に辛いことを話しても無理なのです。そもそも、その方々も大変な思いをしてがんばっているため、人の辛さを受け入れることができない状態なのです。誰かが悪いのではなく、あの状態が悪いのです。

私の他にも介護職の方で「もえつき」を経験された方はとても多いです。「もえつき」はストレス反応の一つで「異常な状況に対する正常な反応」です。自分を責めなくていいのです。そして、自分を認め、受け入れて下さい。ゆっくり休んでください。自分のために時間を使ってあげて下さい。

疲れがとれてくると、いろいろなことに気付きます。辛かった介護の仕事にも教えられたことがたくさんあることに気付きました。この経験は私の成長に必要なことだったのかもしれません。 辛いのなら、いったん手放して流れにまかせてみる、運命にまかせてみる。そして、時が過ぎるのにまかせてもいいのかと思います。

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