騙されなくて良かった~より、騙す方でなくて良かった~

過去に「オレ・オレ詐欺」というのが流行りました。犯人が息子や孫などになりすまし、身内を装って電話をかけ「急にお金が必要になった」などの口実で金銭を騙し取ろうとする詐欺の手口です。その後、「振り込み詐欺」や最近では(もう古いかもしれません)水道局職員を装って、水道代を請求する。また、災害時の義援金詐欺などもあります。こちらは、義援金を振り込む相手先の団体をよく確認しないといけません。

その手口は、巧妙で人の心理の隙に付け込んで、相手を信用させてしまいます。誰かに相談したり、話していれば未然に防げたかもしれません。ですが、なかにはたとえ他の人に話しても(相談しても)防げない詐欺もあるのです。

これは知人に聞いた話しです。中堅企業に勤める会社員Aさん(男性、40代後半)は大変真面目な方で、30歳頃に一度結婚しその後離婚して、今は独身で70歳近い実母と二人暮らしをされているそうです。

Aさんはお酒が全く飲めないのですが、月に1、2回、繁華街の高級クラブに通っていました。お目当てはお店に勤める、ある女性に会うためです。仮にB子さんとします。AさんはB子さんのことがとても気に入っていて、お店で何回か会ううちに仲良くなり、交際するようになったそうです。二人で撮った写真を見せられた知人は、B子さんの印象は若くてルックスも良くて、派手な感じだったそうです。真面目なサラリーマン風のAさんとは見るからに合わないといった感じだったそうですが、AさんはB子さんにぞっこんで、二人でよく京都や遠方にも遊びに行ったと聞いていたようです。

暫くしてAさんはB子さんから「子供ができたらしい。九州の実家に帰って、出産して実家で育てるから、養育費として300万円ほしい」と言われたそうです。Aさんは結婚を考え、会社の健康保険窓口に相談したり、家族に話したりしたそうです。Aさんは一度B子さんを家に連れてきて母に会わせたかったようですが、B子さんが拒否。B子さんは結婚せず自分で育てると言い張り、Aさんの母には会っていません。そして、AさんはB子さんになんと300万円を渡してしまったそうです。

本当に子供ができたのか、はっきりわかっていません。もしそうならば、どうして一人で育てなくてはならないのでしょうか?疑問だらけです。その辺のことをはっきりさせる前に、B子さんに「もう明日出発するから」と言われ、Aさんはお金を渡してしまったようです。知人は警察に連絡するよう言ったようですが、被害届は出していないとのこと。

この話しのように、たとえ他人に相談しても騙されてしまうこともあります。B子さんは初めからお金を騙し取ろうとAさんに近づいたのでしょう。Aさんは本気でB子さんが好きになってしまい、感情に流され、冷静な判断力を失ってしまったのです。知人は何度も「それ、おかしいよ」と忠告したそうですが、聞かなかったそうです。

その後、知人はAさんから「子供は、いるかもしれないし、いないかもしれない。けれど、彼女と過ごして幸せだった」と言われたそうです。AさんはB子さんに騙されたけれども、そこを悔やむというより、お金を渡し、自分のできることはしたので、何か清々しいとでもいうような感じがしたと知人は言います。

Aさんはこのことからきっと多くの学びを得たのだと思います。知人もそんなAさんとは変わらず友人付き合いをしているそうです。けれどB子さんはどうでしょうか?人を騙しお金まで取ったのです。きっと、忘れられない恥ずべきこととして心に残ると思います。Aさんが真面目で良い人だけに余計にです。

時が経てばこの二人の違いが明らかになるでしょう。人を苦しませるようなことをすれば、その代償を払わなければならないようになっているのです。けれど、苦しみの受け身なら幸いです。神様から愛されます。騙す方でなくて本当に良かったのです。

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